映画のタイトルの邦訳を修正

THE MOST DANGEROUS YEAR の邦訳を当初「最も過酷な年」としていましたが、多方面からのご指摘とVlada監督の希望もあり「最も危険な年」に修正することになりました。
当初「最も過酷な年」と訳したことについて、また各方面から指摘を受けて修正することにした経緯について書きます。
英語は文脈で文中の単語の意味が変わる言語ですが、日本語は単語の意味は明確であるのに、その文脈は「空気」によって変わる曖昧な言語です。”DANGEROUS”は確かに”危険”を意味しますが、このドキュメンタリー映画が映し出したものは、トランスジェンダーの子ども達とその家族が直面した人権上の危機でした。日本語の「危機」は「危険」とは違います。それで、「最も危機な年」としてしまうと、Vlada監督が感じたであろう切迫した状況が伝わらないように思いました。
私はこのドキュメンタリー映画が映し出した”人権上の危機がこども達とその家族に迫り来る状況”は正に”過酷”のひとことに尽きると感じたので、この映画の邦訳を「最も過酷な年」と翻訳しました。また、このタイトルの翻訳については翻訳を手伝ってくれた有志達からも、わたしの意見を尊重すると言って頂いて「最も過酷な年」としたのでした。
しかしながら、その後、この映画の上映が各地で開催され、やはり”DENGEROUS”は「過酷」ではないとの意見が多く、邦訳を「最も危険な年」に改めることとなりました。
わたしは、邦訳の訂正を不本意に感じていましたが、その後、トランプ氏が、人種差別を扇動した結果、多くの黒人が警官によって殺されたり不当に暴力を振るわれるなどし、米国全土にBLM運動が拡がったこと。また、選挙結果を受け入れず民衆を扇動し、米国議会を襲撃させ民主主義の根幹を揺るがしたこと。アメリカ社会を分断し、米国の民主主義を破壊しようとする間違った「正義」はトランプ氏を支持する民衆が醸し出したものであり、トランプ氏から権力を奪ったとしても恐らく簡単に消えることは無いでしょう。
それで、結局、私はこのドキュメンタリー映画のタイトルの邦訳が「最も危険な年」であることに納得したのでした。このアメリカ社会を分断する、暗く愚かな怒りは、正に”DANGEROUS”な直接的な生命の「危険」なのだと、あらためて知ったのでした。

トランプ氏は大統領の座を追われ権力を失いましたが、米国社会は深く分断したまま不安定さを増し、その影響は海を越えて今も世界中に拡がっています。
わたしたちは、日本社会にも存在する、このような愚かな分断をどうしたら停止させ、互いを「赦す」ことができるでしょうか。
トランスジェンダーの子ども達とその家族を守ることは、ジェンダー平等を実現すること、人種差別を無くすこと、障害者への差別を無くすこと、あらゆる差別を無くすことに、その根底で全てがつながっています。
お互いを赦し、愚かな分断を停止させるため、わたし達、ひとりひとりができることを考えて行動に移して欲しいと思います。
このドキュメンタリー映画にはそのためのヒントがたくさんあると私は思います。
機会があれば、是非鑑賞してください。そして次の主催者となって上映会を開催して下さい。

※ガイドブックの邦訳は修正作業中です。
「最も過酷な年」のままになっていますが、なにぶん仕事が遅い人間です。どうぞご容赦ください。








投稿者: JUN

Trans Advocates Representative  

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